氷帝:1
(日吉達が1年・跡部達が2年の冬・・・かなぁ?)


2月14日        この日は、女の子が好きな男の子にチョコレートを渡して告白する日、バレンタインデーである。
氷帝学園男子テニス部在籍中さわやか少年こと鳳長太郎にとっては、バレンタイン以外にもう1つある。それは・・・・・・・・・・・・誕生日だ。












         2月13日・放課後          


明日は、跡部さんたちがチョコを沢山貰うだろうと思い、俺は、近くにいた樺地たちに声をかけた。
「樺地〜日吉〜、明日って部活出来るのかな?」
「・・・明日の・・・放課後の部活は・・・無し・・・です」
「ぁあ、鳳知らないのか。何故かは知らないが、跡部さんが監督に許可取ったらしい。それがどうかしたのか?」
・・・・・・どうやら、日吉は明日が『バレンタイン』だという事自体を覚えてないみたいだ。樺地は覚えてるんだろうな・・・跡部さんと行動してるから。






         2月14日・朝練後         

前日の、鳳の予想通りに、部室がチョコレートの甘ったるい匂いが充満していて、その場にはいない跡部と樺地以外のレギュラー達が嫌そうな顔をしているにも拘らず、1人だけ着替えを終えて平気な顔をしてチョコレートを食べている者がいた・・・・・・日吉だ。
「あれ?珍しいね、日吉がチョコレート食べてるの」
誰もが思っていても言わなかった事を、さらっと言ったのは鳳である。
「ぁあ、コレか。知り合いがくれたんでな」
「知り合いって?」
鳳は首を傾げて聞く。他のレギュラー達も興味あるのか、聞き耳を立てている。
「・・・鳳に教える必要あるのか?」
「いいじゃん、教えたってさぁ」
「そやな、岳人の言う通りや。それに、自分、下駄箱に入っとったチョコ、その場におって羨ましがっとった奴らに、全部やったやろ?」
鳳を横目で見て冷淡に答える日吉に、向日・忍足が参戦する。
「ホントですか!?」
「ホンマやって!俺が実際に目撃したし」
驚く鳳に、忍足は普通に返答した。
「あっ、そういや、直接持って来てた子には『甘いモノは好きじゃない。それに、知りもしないアンタから受け取るつもりもない』とかって言って断ってたよな!可愛かったのに、もったいねぇ・・・クソクソッ!!」
「非難なんか羨ましいんかどっちやねん、岳人・・・」
思い出したようにしゃべる向日に、忍足が呆れた口調でツッコむ。
「んー、半々・・・かなぁ?」
「そよか・・・で、日吉、誰からもろたんや?そのチョコ」
「・・・チッ!・・・憶えてたんですか」
自分の食べてるチョコ自体からは、話は逸れてってたので、『そのまま忘れてろ』と思っていた日吉だが、忍足が話を元に戻してしまった為、隠しもせず嫌そうな顔をした。
「・・・・・・授業始まりますから、先に失礼します」
と、日吉はさっさと退室した。
「あーっ、待ってよ、日吉〜・・・じゃあ、お先に失礼します!」
鳳も、後を追うように急いで退室した。
「・・・・・・鳳行きよったな・・・ほな、俺らは準備しよか?」
「「おうっ!!」」
鳳には内緒の準備を開始した。

そう彼らは樺地の提案で祝ってやるぜ!鳳、誕生日おめでとう!パーティ】というイベントを計画していたのだ。主催者は、樺地が提案したという事で、当然この人・・・アホベ跡部景吾である。



「・・・はぁ・・・やっと、追いついた〜」
日吉がさっさと靴を履き代えたところで、鳳が追いついた。
「同じクラスなんだから、一緒に行こうよ・・・・・ぅわっ!」
靴を履き替えようとしたら、可愛らしくラッピングされた箱が沢山落ちてきた。
それを横目で見て、興味なさ気に日吉は答えた。
「・・・ハァ・・・勝手にしろ」
「うん」
冷たい態度に慣れているのか、鳳は気にした様子もなく、持っていた紙袋に落ちてきた箱を入れて、日吉の隣を歩いていた。



教室に近づくたびに多くなる視線に、俺はウンザリしていた。
視線の先にいるのは、隣で色々と喋りかけてくる鳳なのだが、その本人は気付いてないのか視線を気にした様子もないので、心の中で「少しはあの鬱陶しい女子共の視線に気付け、ノーコン!(怒)」と思うくらいは許せ、と、俺は思った。


「おーとり君!誕生日おめでとう♪プレゼントとは別で、ちゃんとチョコもあるのvvv」
俺達が教室に入ると、クラスメイトである1人の女子が声をかけてきたのをみて、嫌な予感がした俺は鳳から、気付かれないように離れた。
「「「「「おーとりく〜ん、おめでとう♪」」」」」
離れた直後、鳳は複数の女子に囲まれた。つまり俺の<嫌な予感>が的中したのだ。


困っている鳳を放置して、自分の席に座った。
「よくあんなテンションが出来るものだ・・・」
と、呆れた顔をして、鳳を囲ったままの女子の群れを見た。


「酷いよ日吉〜置いてくなんて〜」
相当もみくちゃにされやっと解放されたのか、貰ったプレゼントを両手で抱え疲れたような顔をした鳳が、情けない顔と声で近づいてきた。
「俺は周囲の≪氣≫に他の奴らより敏感なだけだ・・・それに、気を読めないと≪あの人達≫には追いつけないんだよ」
「あの人達?・・・って跡部さん達の事?」
「・・・ハァ・・・何で、そこで跡部さん達が出てくるんだ?」
鳳の返答に、呆れたように見て返す。
「え〜、違うの?・・・じゃあ誰?」
「・・・言ってもお前知らないだろ?」
「聞いてみなきゃわかんないじゃないか!」
さっき見捨てた事を根に持ってるのか、引き下がらない。
「ふぅ・・・わかった教えてやるよ・・・放課後にな」
「ホント!絶対だからね、日吉!」
「ああ」
そう約束してやると、鳳は尻尾が付いてれば間違いなく、すごい勢いで振ってるだろうと思わせる程に嬉しそうな顔をして、少し離れた自分の席へ行ってしまった。

「・・・ハァ・・・」
今日の自分の役目を考えると、自然とため息が漏れた。そこへ、
「準備・・・終わった・・・そう・・です」
先輩達からの伝言付きで、すぐ隣の席である樺地が姿を現し、席に座った。
「おかえり。あいつの相手は、俺よりも宍戸さんの方が適任だと思うんだがな・・・」
「ただいま、若。・・・同級生の方が・・いいと・・跡部さん達が・・・」
「俺じゃなくても良くないか?」
「若が・・・1番・・・鳳と・・・話してます」
「俺は、鳳より樺地と話してる気がする」
「若は・・・鳳よりしゃべらないから・・・そう思うんだと思い・・ます」
「・・・・・・そうかもな」
「はい」
こんな、とてもローテンションな会話が、教師が来るまで続いた。






         2月14日・放課後         

そんなこんなで、昼休みには鳳を部室に近づけないよう試行錯誤して頑張っている可愛い(?)日吉が見れたり、そんな日吉を宍戸と樺地が手助けする微笑ましい場面が見れたりして・・・・・・ようやく放課後となり、努力の甲斐あって鳳にはまだ知られずにいる。


とりあえず、なんとか誤魔化し鳳を図書室で待たせてると、マナーモードにしてある携帯が振るえた。見てみると、それは宍戸さんからのメールで『準備出来た。鳳連れて来い』と書かれていた。
やっと、先輩達から『連れて来い』という指示をもらい、図書室に待たせてある鳳を呼びに行った。
「鳳、ちょっと付いて来てくれないか?」
「・・・いいけど、何処行くの?」
「来ればわかる・・・行くぞ」
「待ってよ、ヒヨ〜・・・」
本を元の棚に戻して、鳳がバタバタと音をたてながら並ぶ。
「あっ!・・・そういえば、チョコって誰からもらったの?」
(・・・・・・覚えてたのか・・・仕方ない約束したからな)
「・・・俺の尊敬する人達」
「・・・・・・尊敬?跡部さんじゃないの?」
(・・・・・・・・・何言い出すんだ、この大型犬は!跡部さんの強さや有言実行な所は認めるが、アノ性格までは尊敬してるわけないだろ・・・)
「そんなわけないだろ・・・アノ人達の信念・強さ・考え方は学ぶべき所がある。それに、跡部さんよりも上に存在してるんだ。・・・いくら跡部さんでも、≪彼ら≫を超える事は出来はしない。」
「そんなにすごい人達なんだ・・・ん?今、彼らって言ったよね?男の人からもったの!?」
(納得したと思っていたら、余計な事に気付いたな・・・)
「悪いのか?昨日はその人達の所に泊まったんだ・・・片方が食べたいと強請り、作ってくれたんだが、結局2人して作ってたな・・・・・・で、一口もらって、美味かったから『欲しい』と言ったらくれた・・・それだけだ」
「そんなに美味しかったの?」
「ぁあ、女子が作ってくるようなバカみたいな甘さじゃなくて、相手の好みに合わせた甘さだったからな」
「1度は食べたんだ?女子の作ったチョコ」
「一応はな・・・甘すぎて食べれる代物じゃなかったがな」
(思い出しただけでも、胸焼けがしそうだ・・・)
「それ、どうしたの?」
「・・・・・・どうしたか覚えてないな」
「・・・ヒヨ・・・」
(・・・・・・そんな悪い事したような目で俺を見るな)
「・・・・・・甘いもの好きな奴にやったんだ、捨てたわけじゃない」
鳳は安堵した顔して、
「良かった〜、捨てたのかと思ったよ〜」
「そんな事したら、アノ人に怒られるから捨てたりはしない」
「捨てられたら悲しいからね」
「・・・同じ事言われたな」
「そうなの?」
「ああ」
ふ、と昨日の事を思い出した。
「昨日アノ人達といた時に、宍戸さんに会ったな・・・後は、宍戸さんから聞けばいい」
「ヒヨが教えてくんないの?」
「教えない」
「ケチ」
「何とでも言え」


チョコについて話してるうちに、ようやく目的地である部室に着いた。
「付いて来て欲しかったのはココだ」
「部室?何で?」
「入ればわかる」
・・・コンコンッとノックし、鳳に先に入るように促す。
「?・・・失礼しま〜す」
・・・日吉の行動に不思議そうにしつつ、促されるままに、ガチャッと戸を開け入る。すると、

「「「「「「鳳(長太郎)、誕生日おめでとう!」」」」」」

パーンという複数のクラッカーの音と共に、祝いの言葉が聞こえた。
「・・・先輩・・・樺地・・・?」
突然の事で、反応が返せない鳳だった。
「長太郎、誕生日おめでとう・・・コレは俺達からのプレゼントだ」
「ししど・・・さ〜ん」
プレゼントを受け取りながら、嬉しさのあまり涙ぐんでいた。
「俺・・・嬉しいです!先輩達に祝ってもらえて・・・」

忍足は日吉に近づき、
「喜んでもらえたみたいやな。準備した甲斐あるわ」
「鳳を部室に行かせないようにするのは大変でしたけどね・・・」
「お疲れさんやったな、日吉」
「宍戸さんや樺地が手伝ってくれましたら・・・」
2人でこんな会話をしていた。

「あ、あの・・・皆さん、祝ってくれてありがとうございます!
本当に嬉しそうに言う鳳をみて、跡部達も満足そうな顔をしていた。

「たまには、こういうのもいいかもな・・・なぁ、樺地!」
「ウス!」





こうして、元から祝ってた樺地や日吉以外の誕生日を、跡部が誕生日パーティを開催するようになったとかならないとか・・・









あとがき

短い予定がこんなに長く・・・めちゃくちゃで、文才のない無力なオイラでごめんなさい(泣)
アノ人達とは龍麻と壬生の事です!魔人ファンにしかわかんないキャラでごめんなさい(汗)
感想もらえたら大喜びします。





2006/5/1(月)

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